「店舗と店舗の間に”道”ができた。」ドトールコーヒーが描く未来型店舗運営への挑戦。

Posted by Sync Up on 2020/06/04 9:30:00

株式会社ドトールコーヒー

 パーソル総合研究所の調査※1によると2030年、644万人の人手が不足すると予想されています。

 

特に、飲食業を始めとしたサービス産業の人手不足はより厳しさを増す一方で、将来を見据えて店舗運営をどのように改善をしていくのか頭を悩ます事業者の方も多いのではないでしょうか?

 

※1 パーソル総合研究所「労働市場の未来推計2030」より:https://rc.persol-group.co.jp/roudou2030/

 

 

 今回は、そんな未来に向かってSync Upと共に挑戦を続ける、株式会社ドトールコーヒーのお二方にインタビューを実施いたしました。

 

 −− 従業員の働きやすさ・店舗運営の考え方の変化をインタビューを通して紐解いていきます。

 

 

 

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  株式会社ドトールコーヒー
  事業統括本部 運営人材戦略部
  運営人材戦略課 中島 雄様(写真右)、大川 紀子様(写真左)

 

 

 

労働人口の減少。それぞれの個店に閉じた店舗運営への危機感…


 

 

 

━━ まず、ドトールコーヒー様には店舗運営について、どのような課題があったのでしょうか?

取り組みが始まった背景を教えてください。

 

 

▼ 中島 雄様(以下、中島):

全体像からお話しすると、今後、日本全体の人口動態から考えても働き手が少なくなることは明確で、実際に当社においても店舗運営における人員不足が課題となっていました。また人手不足における店長の負担も増え、残業時間の増加も問題となってきていました。

 

また、同時に市場環境が常に変化している中で、ドトールコーヒーとして、世の中の変化にアジャストしていくことが必要だと思っていました。

 

具体的には、市場全体を見ると、若手の就業人口は減少していきますし、学生は週5でアルバイトという世界から週2,3日・1日2,3時間程度働けば十分というニーズに変化しています。

 

一方で、どんどん労働力が減っていく中で、いままでのように各店舗でアルバイトスタッフ(以下パートナー)を採用して各店舗それぞれで抱えるという個店まかせの方法にはもちろん限界があります。

 

市場環境の変化に対していままでの店舗運営のあり方だと、クオリティを保ちながら事業を継続することが難しくなるのではという危機感がありました。

 

 

 

━━ どのような取り組みを開始したのでしょうか?

また、その中でSync Upを導入しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

 

 

▼ 中島:

従来の店舗のシフト運営は、店舗ごとにパートナーを抱え、人手が足りない場合は店長同士がコミュニケーションをとってヘルプのやりとりや調整をします。また、数名を調整するだけでも相当な工数がかかっていました。

 

しかし、これからは各店舗がそれぞれでパートナーを抱えるのではなく、特定のエリアでパートナーを共有・協力しあうことが必要になるかと思います。

 

なので、

 

特定のエリアで店長同士がタイムリーにヘルプのやりとりができる 

 

パートナーが働きたいときに、自発的にヘルプに行ける

 

 

ということを実現する仕組みを構築したいと考えていました。

そのタイミングで、Sync Upに出会い、Sync Upの仕組みが当社の実現したい施策にマッチしていると感じ導入をしようと考えました。

 

 

 

 

 

まずは、本部パートナー派遣制度でSync Upの実験をスタート。

思わぬ発見は「パートナーの自主性」。


 

 

 

━━ 実際に導入してみて、いかがでしたか?導入当初のことを教えてください。

 

 

▼ 中島:

思い描いていた世界観はもちろんありましたが、いきなり仕組みや運営方法が変わると店舗も混乱してしまいます。

 

なので、まずはSync Upがどういう仕組みなのか、仕組みを通じて新しい価値を体感するといったように、「使いながら新しいシフトのあり方を体感してもらおう」と考えていました。

 

そこで、自社で新しく取り組みをはじめていた「本部パートナー派遣制度」を実験の対象として開始しました。

 

 

 

━━ 「本部パートナー派遣制度」とはどのような制度なのでしょうか?

 

 

▼ 大川 紀子様(以下、大川):

実は、以前から人手が不足している中で、「特定のエリア内でヘルプを出し合う」という文化はあり、そもそも採用が難しいエリアや地域の店舗では、派遣パートナーや自社の社員が人の足りていないシフトに入ることで充足させていました。

しかし、それでも不足している店舗のシフトがあり、「ピークの2,3時間でも人がいてほしい」という店舗側のニーズが昨今増えてきていました。一方で、働き手の主婦(夫)やダブルワーカー、シニアの方のように2,3時間でも働きたいという働き手のニーズも多くあることに気づきました。

それらの「スキマの2,3時間」をマッチングできるのではないかと考え、短時間で働きたいというパートナーを”本部所属”とし、各店舗の不足シフトに勤務する制度が「本部パートナー派遣制度」です。

 

 

 

━━ 画期的な制度ですね! 一方で、Sync Upで最初の実証実験対象となった本制度の裏には、どのような課題があったのでしょうか?

 

 

▼ 大川:

パートナーのスキマ時間と店舗の募集ラインのマッチングに非常に手間と時間がかかっていました。

 

本部派遣制度

 

 

 

Sync Up導入前は、パートナーを本部で抱えて困っている店舗に派遣するという方法で運用していました。

 

店舗では「2,3時間だけでも洗い場に入ってくれれば」、お客様に向き合い良いサービスを提供するというちょっとした人手が足りないシーンが増えていました。


ただ、誰をどこの店舗に入れるか考えることや、本部から派遣したもののパートナーが働きたい店舗じゃないかもしれないと気を使ったり・・・と、それぞれの店舗のシフトを見て派遣する、これが非常に手間でした。


そうやって、1件1件双方の希望を伺いながら作業していたので、半月のシフトごとに5,6時間以上はかかっていました。

しかし、Sync Upを導入してからは流れを変えて、本部が常に介入するのではなく、店舗とパートナーが直接店舗にアプリで申し込みできるように変えて、本部はそれぞれのマッチングのフォローや支援をする形に変更をしました。

 

 

 

導入後

 

 

 

━━ 実際に、今までと運用が変わった結果はいかがでしたか?

 

 

▼ 中島:

まず前提として、本運用をスタートするにあたって、


1. 店長の使い勝手がいいのか?


2. パートナーは自分で応募するのか?自発的に動いてくれるのか?

 

の2点を検証していました。
結果としては、お互いにマッチングするという観点でも非常にうまくいき、仲介することで5,6時間かかっていた本部の仕事も10分程度に減りました。

 

 

 

━━ 最初の取り組みを通じてパートナーや受け入れ先の店舗からどのような声が上がってきましたか?

 

 

 

▼ 大川:

パートナーがうまく使いこなせるかな?という不安は最初ありましたが、思った以上にアプリをさくさく使っていく印象が強かったですね。


主婦(夫)の40代・50代のパートナーが自発的に応募をしてくれましたし、使い方の問い合わせもありませんでした。わかりやすい画面で自分が入りたいシフトに応募をするだけという簡単な操作方法なので、パートナーはすぐに慣れて戸惑いはありませんでした。

 

 

また、本部が各店舗にパートナーを仲介していたときと違って、行きたくない店舗かどうかの不安もなくなったと思います。

 

いままでパートナーは本部が選んだ店舗に行かなければならないという「やらされ仕事」から、自発的に募集ラインに応募してヘルプに行くようになっています。

 

それまでは、「この店舗のパートナーになりたい」という声はなかったが、Sync Upを導入してから「私、この店のパートナーになりたいです」と、自分で働く店舗を選べることで働き方まで変える人が出てきました。


これは今までの本部が仲介するという方法では生まれなかった事例だと思います。

 

 

 

−−  本部主導での「やってくれ、行ってくれ」から、自主性を重んじる働き方に変えたことでパートナーが今までより自発的に動くようになったのですね。

 

 

 

 

 

他店舗ヘルプは、「必ず店長を介す」ものから「パートナーが自主的に応募する」ものへ。

パートナーの自主性が生んだ成果。


 

 

 

━━ この実験を経て、全店への展開が徐々にスタートしたかと思います。 まず、「広げていこう」となった理由は具体的にどういったことだったのでしょうか?

 

 

 ▼ 中島:

本部パートナー派遣制度の実験終了後は、「新宿・渋谷エリアの店舗」を対象に実験し、そこで培った取り組みを各エリアでも実施できるよう横展開を目的にスタートをしました。

実は、展開するにあたって、好き・嫌いでパートナーが特定の店舗にしかヘルプに行かず、特定の店舗以外には人が集まらなくなると思っていましたが、思ったよりその差はありませんでした。

 

逆に人気がなく、ヘルプが集まらない店舗はパートナーからの意見をフィードバックすることで店舗運営が良くなっていきました。

当初考えていたような混乱はほとんど起きず、仮に起こったとしてもその情報を伝えることで店長の行動変容が起きました。結果、ヘルプも集まるようになりましたし、良い方向に店舗が変わっていきました。

もちろん店長がSync Upをうまく操作できないという課題は当初からありましたが、それは時間をつくって説明するしかないですね。また、Sync Up自体に対してのネガティブな意見はありませんでした。

 

 

 

━━ 新宿・渋谷エリアの店舗での実験後に、さらに全社へ広げていこうとなったかと思います。実際に全社へ広げるきっかけはどのようなことだったのでしょうか?

 

 

 

拡大

 

 

▼ 中島:

やはり、パートナーが他店舗に自発的にヘルプに入るのだという驚きと、取り組むエリアの範囲をさらに広げて実施したら想定以上のことが起きるだろうと、この取り組みの可能性を感じました。

広げれば広げるほど、取り組みの良さが倍増すると考えましたし、パートナーの自主性が広がり、様々な店舗で働けるという選択肢も広がり、働き手であるパートナーもが喜ぶという仮説が検証できました。

 

 

 

━━ 店長の体験も今までと大きく変わったと思います。実際の店舗側の感想はどうでしたか?

 

 

▼ 中島:

パートナーが自発的に他店舗にヘルプに入るということが良いときもあれば、悪いこともあります。


エリアを統括するSV(スーパーバイザー)からは、店長の許可なくパートナーが他店舗に行くことに対する反対意見もありましたし、今までと違う取り組みややり方に対して戸惑う店長もいたことは事実です。

正直、いまは新しい取り組みの「生みの苦しみ」がありますが、今後を考えると冒頭お話しした労働市場の変化が見えているので、2,3年後これまでの方法でやっていけるかというと厳しいのは店長自身もわかっていると思います。

 


市場や環境に適応する店舗運営・変化に対応できる店長を育てて、いかにパートナーをそれぞれで抱えるかではなく、

各エリア・各店舗・各パートナーが協力し合っていくかという考え方へ変化する重要性を伝えています。

 

 

▼ 大川:

実際に店舗から「こんな人が来てくれるんだ!」という、今までなかなかシフトに入ってくれなかったようなパートナーが突然Sync Upで応募をしてくれるようになった、という嬉しい驚きの声もありました。

いままでは失敗やリスクを強く意識して、まず、ルールブックで「ヘルプを出すときは自店舗のシフトが埋まっていることが条件」「ヘルプに行く場合は自店舗の店長の許可が必要」というような本部が先回りしてルールを作っていましたが、そのルールによって失われている可能性があり、安全な手段ばかりを選択していたと思います。

 

 

▼ 中島:

しかし、その方法だと変化していく環境に適応できなくなるので、変化がある中でどのように調整していくか、コミュニケーションをとっていくことで考え方や体験を変化させる必要があります。

 

体験や考え方を変化させるという観点ですと、Sync Upを使っての取り組みは当社の中でも先陣を切った体験・取り組みになっています!

痛みはありますが、その先を考えると変化していかなければならないですね。

 

 

 

 

「店舗と店舗の間に”道”ができた。」道の先に見据えるドトールコーヒーの店舗の未来。


 

 

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━━ 冒頭で既存社員の残業時間の問題も上がっていましたが、貴社の店長・社員の働き方と価値観に変化はありましたか?

 

 

▼ 中島:

Sync Upを導入して、各店舗でパートナーを抱えていた状況から、各エリア・各店舗間に「道」ができました。パートナーが行き来できるようなインフラだと考えています。ただ、行き来することで充足時間が増え、社員の残業時間が減るということはもちろんありますが、それは受け身で自然発生だと思っています。

Sync Upを活用することで各店舗の募集時間や充足時間を見える化して、「各店舗のパートナーをどう充足させていくのか」、「どうしたら人の足りない店舗にパートナーは行ってくれるのか」という見える化したものに対して、新たに課題を作り、解決していくことが大切です。


Sync Upを使うだけではなく、次の課題設定をして、数字に紐付けて解決するということがSync Upがあるからこそいろいろなことに取り組めるようになりました。インフラを整備してパートナーが自発的に募集ラインに入ってくれるね、だけではないです。

 


シフト管理をデジタル化することによって、社員の働き方をどう変えればいいかというメソッドを分析できるようになる等、シフトを起点に体系的に分析できるようになりました。

 

 

 

━━ 最後に、長期的な今後の展望やSync Upに期待したいことをお聞かせください!

 

 

▼ 中島:

まずファーストステージとしては、インフラをSync Upでつくりました。


そこから見えた数字を次の課題として設定し、どのように人を充足させていくか、それによって社員の残業時間が減ることを仕組み化していきたいです。それを加盟店にご案内し、さらなる仕組みをつくっていきたいです。

 

ただ加盟店にもインフラだけ渡してもプラスにならないので、加盟店に対してもSync Upをどのように店舗の改善に使えるかという利活用方法まで提示することでドトールグループ全体としての取り組みに広げていきたいと思います。

 


また、もちろん店長がどのような店舗をつくるかが重要です。

店長がどのような店舗をつくるかによってパートナーが笑顔になり、お客様に笑顔で接することができるからこそお客様が集まるというCSの向上につながります。

 

CS向上のカギは店長です。

CS向上のために店長の働く環境をいかに改善できるかを、生産業務非生産業務で切り分けて考えています。
お客様に接することは生産業務ですがシフト管理や発注業務は非生産業務です。
詳しくお話しすると、お客様と接する等、店舗に立っての接客やオペレーションは生産業務です。


ただ一概に難しいのが、パートナーの評価や会議は短期的には非生産業務ですが、長い目で見るとパートナーが活躍してくれ、店舗の運営クオリティが向上するため、生産業務に繋がる大事なことでもあります。

シフト管理の中でも、明確な非生産業務を減らすことができれば、パートナーのケアに時間を充てられるようになるので、もっと良い店舗を作れるようになると思いますし、その点の進化を長期的に期待しています。

 

 

 ▼ 大川:

最後に、本部派遣パートナー制度の先ですが、店舗とパートナーのやりとりが活発になり、活用できるという検証はできました。応募してくれるパートナーも言われたことだけをやるのではなく、自発的にいろいろな業務に取り組んでいただけています。


また、週に1回3時間だけや、中には月1回働いてくれる人もいるので、パートナーにとって働きやすい環境をつくることができたのではと思います。

2,3時間でもその人のいろいろな生活様式に合わせて店舗がお役に立てていると感じます。Sync Upを活用することでいままでにないパートナーと店舗の出会いを実現でき、パートナーの働き方やニーズをきちんと受け入れられる店舗になっていると思います。

 

 

 

──「自分の働きたいニーズを受け入れてくれるから、もっと自分の力を活かしたい!」というお金ではない働きがいのある職場が実現できていますね!

 

 

 

▼ 大川:

 いま実現していることは以前までの方法だと難しいですが、Sync Upだとお互いのニーズを実現できる環境を整えることができました。

 

 

▼ 中島:

 企業、店舗がパートナーを使役する のではなく、働き手それぞれのニーズや自主性が大事な時代ですね。

 

 

 

 

 

取材後記


 お二方の取材を通して、「パートナーの自主性」「店舗の変化」などに目を向けながら、常に主語が「店舗」や「パートナー」であり、常に目線が現場に向いていることが印象的でした。また、現場の今を常に良いものへ改善をしていきたいという、未来に向かって走る姿がまさにドトールコーヒーがお客様に長年愛され続ける理由なのかもしれないと感じます。



 ドトールコーヒー創業者の鳥羽博道氏の著書に「因果倶仁(いんがぐじ)−現在の一分一秒が未来につながっている」という言葉がありました。まさに、様々な取り組みで得た今の”気付き”を、しっかりと”未来”につなげて広げていく、この新しい働き方への挑戦はドトールコーヒーの今後の発展の礎になる取り組みになるのではないでしょうか?


また、Sync Upも”インフラ”として今後の挑戦を支えてまいりたいと思います!

 

Topics: 飲食サービス

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