【後編】コロナ禍での飲食業の売上ダウン対策!求められることはテイクアウトなど「提供態の多様化」

 執筆: Sync Up  更新 2023/06/09 17:53:04

利益を出すためにコストを下げる、以外に打てる手はないのでしょうか。

 

こちらの記事は、コストダウンの選択肢の一つ、人件費のコントロールのためには、適正な人件費比率を算出する必要性や、そのために週や日単位での人件費を計算するツールの導入が便利ということを書きました。この記事では、売上、トップライン確保のための方法論について考えていきたいと思います。

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目次

・前月より回復するも対昨年度では売上ダウンが続いている

・売上確保の方法論

・5割以上が「コロナウイルスの影響でテイクアウトをはじめた」

・消費者側は8割がテイクアウトを利用

・テイクアウトはもちろん、「提供態の多様化」がポイントに

 

 

前月より回復するも対昨年度では売上ダウンが続いている


 

ここで、飲食業での最新の売上傾向を見ていきましょう。

パーソルグループのポスタス株式会社は、
9月度の飲食店売上動向についてPOSデータを基に集計し、結果を発信しています。


最新の10月度のレポートでは、営業時間短縮要請解除後の回復傾向を示しているものの、
続くコロナ禍での飲食店での売り上げは対昨年度でダウン傾向が続いているようです。

 

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売上昨年対比の順位で見ると、8月は1位カレー、2位そば・うどん、3位ラーメンといった昼営業中心で1人利用がメインの業態が占めていたが、9月は1位韓国料理、2位カレー、3位焼肉で順位が大きく入れ替わり、夜営業中心で複数人利用がメインの業態がランクインした。

 

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1位の韓国料理は前月に比べて+18.8ポイント、3位の焼肉は+12.3ポイントと大幅に回復している。どちらもテーブルごとにロースターと換気扇を配置している店舗が多く、通常の飲食店に比べて換気回数が多いことから感染リスクが少ないイメージがある。そろそろ夜の外食に行きたいが、感染リスクは抑えたいと考える消費者から支持されたのではないかと推測される。また、下位の順位には変化が見られないものの、前月に比べるとそれぞれ12ポイント前後の回復を見せた。

 

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売上回復率の順位で見ると、8月は1位カレー、2位カフェ・喫茶、3位そば・うどんで売上昨年対比の順位と同様に昼営業中心で1人利用がメインの業態が占めていたが、9月に入ると回復が鈍化しているのが分かる。


9月は1位韓国料理、2位和風居酒屋、3位洋風居酒屋でこちらも売上昨年対比の順位と同様に夜営業中心で複数人利用がメインの業態がランクインしている。居酒屋の回復率上昇は営業時間短縮要請解除の影響が大きい。

 

このように、飲食店での売り上げダウン幅は解消しつつあるものの、いまだ対昨年度では減収傾向が続いていることがわかります。

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売上確保の方法論


 

コロナ禍での飲食業の売上ダウン対策の前編では、にコストダウンの方法論について言及しました。
この記事では、売上、トップライン確保のための方法論について考えていきたいと思います。
考えられる方法には以下が挙げられます。

 

・テイクアウトの実施
・デリバリー/ケータリングメニューの導入
・D2C/ECサイト等を使った直接販売

 

 

 

5割以上が「コロナウイルスの影響でテイクアウトをはじめた」


 

2020年10月のプレシャスパートナーズによる調査結果によると、5割以上の飲食店が新型コロナウイルスの影響でテイクアウトを開始した、と発表されています。具体的に見ていきましょう。
出典:https://www.foods-ch.com/news/prt_76113/

 

実施状況

 

同調査によれば、68.5%が「テイクアウトを行っている」と回答。
「テイクアウトを行っていない」と回答したのは31.5%にとどまります。

時期

テイクアウト実施時期に関しては、
「新型コロナウイルスの影響でテイクアウトをはじめた」が54.7%、
「新型コロナウイルスの影響前からテイクアウトをはじめている」が45.3%でした。

 

 

消費者側は8割がテイクアウトを利用


 

一方、消費者側はどうでしょうか。少し前のデータですが、2020年7月時点での同プレシャスパートナーによる調査では、テイクアウトの利用率と、今後のテイクアウトの利用意向のデータが出ています。
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000014754.html

テイクアウト利用

 

直近3ヶ月以内に飲食店からテイクアウトをした比率は81.0%。

利用継続

7月以降、テイクアウトを利用するかどうかを尋ねたところ80.0%が「利用すると思う」と回答。
このように、テイクアウトはコロナ禍の現在、日常生活に完全に浸透したと言えるでしょう。

東京都などでは「営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金」(一律15万円)や新たなサービスとして「テイクアウト」「宅配」「移動販売」を始める飲食事業者に「飲食事業者の業態転換支援」(経費の一部を助成)などがあります。これから実施を検討している企業・店舗の方は、今一度国や行政からの発信を確認されるといいでしょう。
参考記事:https://covid19.supportnavi.metro.tokyo.lg.jp/service/gOCaEqKfIxEtk3WE

 

 

テイクアウトメニュー開発のポイント


 

それでは、飲食店がテイクアウトを新たに始める、もしくは改良しながら継続する場合の注意点は何でしょうか。その一つがメニュー開発です。

店舗で提供するイートインメニューと持ち帰るテイクアウトメニューでは、お客様が料理に求める品質が異なる場合があります。テイクアウトメニューを開発する際に重視すべきポイントは以下のとおりです。

・提供時間を短くする
・持ち運びやすいものにする
・時間が経ってもおいしく食べられるメニューにする

 

テイクアウトの場合は速やかに受け取れることが重要です。短時間で提供できるメニューを重点的に開発しましょう。また、持ち歩いても汁がこぼれたり崩れたりしないメニューや、時間が経ってもおいしく食べられるメニューにすることも大切です。

 

 

 

テイクアウトはもちろん、「提供態の多様化」がポイントに


 

コロナ禍においてイートインの集客は厳しくなっており、上述のように、多くの店舗がテイクアウトのみならずデリバリー、通販に取り組んでいます。消費者にも店頭でなくインターネットでテイクアウトや通販の商品を注文するなどのオンライン消費が定着しつつあるが、これは従来からの「外食」「中食」「内食」のカテゴリーを越えた“ボーダレス競争”を一層加速させているとホットペッパーグルメ外食総研のエヴァンジェリスト・竹田クニ氏が述べています。
出典:https://www.inshokuten.com/foodist/article/5892/?page=2

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「これまでは、外食・中食・内食のプレイヤーがそれぞれのセールスマーケティングで商品を提供してきました。消費者はある種、店側の合理性に合わせて選択をしてきたわけです。しかし、これからは“食べる”という体験が多様化します。消費者のある意味“わがまま”に対して、提供の形を変えていくことが、これからの食ビジネスのあるべき姿ではないかと考えています。私はこの提供の形を『提供態』と呼んでいます」


れぽーと2

 

「これまで、私たちは飲食店ならではの価値を『メニュー』『食材の質』『ストーリー』『空間の魅力』『接客』という5つで説明してまいりましたが、ここにきて『提供態』を新たな価値として加えるべきだろうと思います。この6つを合わせて価値提供することが、飲食店に求められているのではないでしょうか」(竹田氏)

 

テイクアウトはコロナ禍の必要な対策の一つですが、企業戦略として一段高い視野に立つと、「提供態」を多様化させることがポイントになってくるということが言えそうですね。

 

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