【調査レポート】人材マネジメントのデジタル活用における課題や活用のポイントとは?
株式会社パーソル総合研究所が「人材マネジメントにおけるデジタル活用に関する調査」を発表いたしました。
DX:デジタル・トランスフォーメーションという言葉を聞かない日がないくらい、様々なシーンで使われています。
ただデジタルを活用して…と言われても漠然としているし、実際社内でも推進されていないという場合が多いのではないでしょうか。
この記事では、調査企業におけるデジタル活用の目的や成果を創出するための要因、
今後のデジタル活用の方針などをパーソル総合研究所がまとめた資料を元に一部を解説しています。
※出典:パーソル総合研究所「人材マネジメントにおけるデジタル活用に関する調査2020」
調査概要
調査名称 |
パーソル総合研究所 「人材マネジメントにおけるデジタル活用に関する調査2020 」 |
調査目的 |
人材マネジメントにおけるデジタル活用実態と課題を定点的に把握し、導入・活用のポイントを整理する。 |
調査手法 |
調査モニターを用いたインターネット定量調査 |
調査時期 |
2020年7月28日-30日 |
調査対象者 |
人事・総務・経営企画担当者 |
有効回収数 |
800名 |
実施主体 |
株式会社 パーソル総合研究所 |
調査結果サマリー
調査結果の詳細についてはのちほど詳しくご説明しますが、調査結果サマリーを解説していきます。
人材データの活用実態
人材データの分析結果を意思決定に使えている企業は16.9%、
41.0%の企業が人材データを分析はしているものの、意思決定に使えているのは半数以下
という結果となりました。
また人材データを分析したいが、できていないという企業では「分析人材」や「リテラシー不足」に課題認識を持っており、データを分析するための「データ整備」がハードルとなっています。
既に分析を意思決定に活用しているという企業でも、
さらなる活用に向けた課題として「組織間の断絶」が課題として挙げられています。
デジタル活用を推進するためには?
デジタル活用推進には、経営トップの積極的関与のほか「人材データの活用推進体制整備」がポイントになりそうです。経営トップの関与だけではうまくいかず、データを活用する体制づくりが必要です。小さく始めた施策の成功体験を経営トップの関与に繋げてデジタルを活用する基盤を作っていきましょう。
また活用のステップとしては、調査結果から下記の3つが挙げられています。
Step1)分析人材確保・リテラシー習得・データ蓄積 Step2)活用目的の明確化・データ一元管理・分析レベルアップ Step3)組織間連携。統合データで「意思決定に資する分析」の実施へ |
人材マネジメントにおけるデジタル活用への意向
このパートでは、企業におけるデジタル活用についての意向や活用の目的、実際にデジタルを活用している企業の詳細について解説します。
70%以上の企業がデジタル活用を進めたほうがいいと回答
人材マネジメントにおいてデジタルを進めたほうが良いか?という質問に対しては、
「75.5%」もの企業がデジタル活用を推進すべきと回答しています。
半数の企業が健康管理やeラーニングツールを導入している
また、実際にデジタル津ツールを導入している企業のうち半数が「健康管理」や「eラーニング」ツールを導入しており、採用領域では「求職者募集」や「採用管理」の導入率が高いという結果でした。
主な活用目的は長時間労働の是正や工数の削減
デジタルを活用していることとしては、下記3つが上位になっています。
1位が「長時間労働の是正」 2位が「時間や場所に縛られない働き方の推進」 3位が「採用コスト/工数の削減」 |
デジタル活用で成果を出すために必要なことは?
デジタルを活用したほうがいい、というのはわかっている企業がほとんどだと思います。
ただデジタルを活用して成果を出すためにはどのようなことが必要なのでしょうか。
データの活用体制の推進と経営トップの関与
調査結果によるとデジタル活用の成果創出には、2つの要素が必要とされています。
・経営トップの関与 ・人材データの活用推進体制 |
経営トップの関与だけでも、人材データの活用推進体制だけでも成果を出すには不十分。
トップの関与がある企業のうち、人材データの活用推進体制を整備している企業は52.3%と、
経営トップが関与していても体制が整備できていないという状況が浮き彫りになっています。
経営トップをデジタル活用に巻き込むには?
まず経営トップを人材データの活用に巻き込むにはどのようなアクションが必要なのでしょうか。
「経営トップが発案した」ことが理由での関与は31.6%である一方で、
「部署等を限定した導入をおこなった結果、成功体験がある」が33.3%でした。
経営トップからの発案も重要ですが、まずは小さく試して成功体験を創ることが重要そうですね。
コロナ禍とデジタル活用の関係性とは?
どの業界、会社も影響を受けた新型コロナウイルス感染症。デジタルの活用にはどのような影響があったのでしょうか?
各社がコロナ対策として取り組んだこと
新型コロナウイルス感染症は企業のデジタル活用にどのような影響を与えたのでしょうか。
対策として最も多かったことは在宅勤務制度の導入や在宅勤務条件の緩和などの「在宅勤務」関する施策で75.3%でした。またコロナ対策としてコミュニケーションのデジタル化や業務プロセスのデジタル化などの「デジタル活用」に取り組んだ企業は57.6%でした。
今後取り組みたいこととは?
コロナ対策としてデジタル化に取り組んでいた企業の約70%が「今後もさらなる強化をしたい」と考えており、取り組んでいなかった企業でも約40%以上が「今後強化していきたい」とコロナ対策としてのデジタル活用はこれからもますます推進されそうです。
人材データ活用実態
ここまでデジタル活用の意向や成果を上げている条件、新型コロナウイルス感染症の影響などを解説しましたが、人材データを活用している企業の実態はどうなのでしょうか。
データ分析の実施状況
人材に関するデータの分析実施状況についてですが、勤怠や人事評価履歴、職務経歴などの人材データを分析し「意思決定に使っている」企業は16.9%。また分析はしているものの半分以上の企業は「意思決定に使えていない」ことがわかりました。
データ活用における課題
なぜデータ活用が推進されないのでしょうか。
分析したいができていない企業では「人材」や「リテラシー」、分析しているものの意思決定に使えていない企業では「データ活用目的」、意思決定に使っている企業では「組織」の問題が課題になっています。
データ分析に必要な人材確保
データ活用における課題として、「人材」や「リテラシー」を挙げましたが、どのようにデータ活用を推進する人材を確保しているのでしょうか。約50%の企業が人事や総務、経営企画部門内で分析人材を育成しており、約30%の企業が分析スキルをもつ人材の採用や異動をおこなっていることがわかりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。デジタル活用は必要だという認識はあるものの
「始められていない、上手くいっていない」方は今一度社内の体制を見直してみましょう。
この記事では一部のコンテンツをまとめておりますが、
こちらでパーソル総合研究所がまとめた資料がすべてダウンロードできますのでご確認ください!