「アンダーツリー」が実践するデジタル化に込められた想いと軌跡
業界の縮小化やコロナ禍による打撃など逆風の強いパチンコホール業界。現在は業界全体でも顧客回帰に向けて積極的に活動している中で、デジタル化を駆使し、生産性の向上に努めているアンダーツリーグループ様にインタビューのご協力をいただきました。
インタビュー協力
アンダーツリー株式会社 営業企画部 部長 堀口 潤造様(上画像右)
アンダーツリー株式会社 営業企画部 営業支援課 課長 部長 井出 明彦様(上画像左)
効率化を進め会社を強くしなくてはいけない
まずは簡単にお二人の経歴についてお伺いさせてください。
堀口 潤造 様(以下、堀口) :
私は元々茨城県に本社を置く金馬車という会社に新卒で入社し、店長、エリアマネージャー、営業部長と経験してきました。
その後、アンダーツリーグループに入社し、営業企画部に配属となり今に至ります。
井出 明彦 様(以下、井出) :
私も堀口と同じく株式会社金馬車に堀口の4年後くらいに新入社員で入社し、堀口がSVという茨城を統括している立場の頃に店長を務めました。
その後同じくアンダーツリーグループに入社し、最初は遊戯台の購入のバイヤーをやっておりました。その後、3年ほど前から労務管理などを全店で統一して推進していくという立場になりました。
御社でのデジタル化の位置づけは何でしょう。
堀口 :
アンダーツリーグループは、多種多様なバックボーンを持った方が集まっております。
そのため、業務のばらつきをなくし、効率化を進めることで生産性を高め、会社を強くしなくてはいけないというのが根底にあります。
アナログなまま拡大を続けていくと固定費が上がってきてしまいます。デジタル化はそれを防ぐための手段と捉えております。
御社でデジタル化を推進することとなった契機は何でしょう。
堀口 :
私がアンダーツリーグリープに入ったのが7年ほど前になりますが、当時は70店舗ほどから一年くらいで100店舗になるという急拡大期でした。店舗数増加のペースに反して、購買の発注にFAXを使っているなど、アナログな管理体制でした。
そのため、マンパワーが拡大に追いついておりませんでした。特に本社は店が増えれば増えるだけ、人手が足りない状況でした。
ただ、冷静に一つ一つの業務を見ていくと「デジタル化すればもっと効率的にできる」と箇所が色々見えてきたため推進を決定しました。
デジタル化への具体的な実践
御社で実施しているデジタル化の代表的な取り組みを教えていただきたいです。
堀口 :
最初に着手したのが購買システムです。パチンコホールではお菓子など、いわゆる一般的な商品も交換できるので、そのための商品を購入します。100店舗になると相当な金額と数量が必要となります。
それを先ほど申し上げたように各店舗がFAXでバラバラと買っていたため、「お客様に100円で提供しているお菓子はいくらで仕入れているのか?」ということも捉えられない状況でした。
もちろん1つ1つ見ていけばわかるのですが、全店舗で何をいくつ購入して、どのくらいが納品されているのか、ということを知ろうとすると非常に労力がかかる状態でした。まずはそこからシステム化していきました。
他にも私のいる営業企画部には広告宣伝課という課があるのですが、当時は各店舗がそれぞれ、「こういうポスターが欲しい」と社内メールで発注しておりました。
広告宣伝課の制作担当スタッフがあうんの呼吸で対応はしておりましたが、一つの機種の広告を打つのに100店舗で230種類のポスターがあるといった状態でした。
オーダーの仕組みを築き、デザインのパターン共有システムを作ることで、店名を書き換えて作れるようにし、少人数で作業が完了する仕組みを導入しました。
当時は300店舗に到達するまでは、「本社の営業企画部のスタッフを増やさず対応できる仕組みを作る」という掛け声でやっていました。
推進する上で苦労された/されている点はございますか。
井出 :
ツールの使い方は比較的簡単にインストールできるのですが、考え方の方は統一するのが難しいです。店舗数拡大を進めれば進めるほど、アンダーツリーの思想を標準化していくというのが一番難しいと感じております。
デジタル化を進めるための秘訣はあるのでしょうか?
堀口 :
私も井出もずっと営業畑でやってきた中で、営業の前線が先を見据えている期間は大体3ヶ月程度という肌感です。
ですが、営業の支援部隊である我々が営業と同じ視点で行くと何も変わらない。会社の中で我々は少し違う視点で見ていかなきゃいけないんです。
実際今私が取り組んでいるもので一番長いものですと、私が一人でやり始めてから4年くらい経っていますし、先ほどの購買システムも開発してからちゃんと現場が使えるようになるまで3年くらいかかっています。
そう言ったことを諦めずに、少し進んで何か課題があったらどう改善しようかというのを考え続ける。
100点満点になるまで動かないのではなく、30点でいいから動き出して改善しながら80点くらいにしていく。
少しうまくいかないからやめる、という考え方ではなくうまくいかないところから改善を積み重ねる、導入まで推進するコツがあるとしたらそれかもしれないです。
デジタル化を進める上で心がけている点はありますか?
堀口 :
現場とのコミュニケーションをひたすら泥臭くですね。
井出 :
1年半前から労務管理のプロジェクトに携わっているのですが、関西、関東でも考え方が違いますし、同じ関西の中でもやっぱり違くて、本当にバラバラなんですよ。
それに対して部長が直接お店に行って店長とかに説明しているという状態で、もちろんそれでも少しずつ変わってはいくのですが、流石にそれはまずいなってことで私たちが少しずつ部長に変わって現場にコーチングに行くようになりました。
まぁ、最初に部長が率先してそれをやっているので私たちもやらざるを得ないという感じもあります笑
効率化とともに従業員に寄り添う仕組みを
今後はどのような展開を考えているのでしょうか。
堀口 :
POSなどのデータを全てつなげてモニタリングできる様にし、同じ様な報告書を何度も作成したり送付したりするといった、各店舗の無駄な作業をへらして業務の効率化を図りつつも、必要な情報は必要な人がきちんと取れるようしたいですね。
属人化しているところもまだまだあって人がいなくなっちゃうともうわからない、と言ったことは全て無くしていきたいです。
また、従業員の成長に寄り添えるようにうまくデジタルを活用したいな、と思っております。例えば、シフト表って社員やアルバイトのひと月を決めるわけじゃないですか。それが積もっていくことでキャリアの形成になっていくと。そういった成長を支援できるような仕組みやマネージャーの教育を進めていきたいと思っております。