外国人留学生を雇用するときに気をつけるポイントとは?

 執筆: Sync Up  更新 2023/06/09 17:43:05

近年、様々な店舗で働いている外国人留学生をよく目にするようになりました。日本学生支援機構による調査によると平成30年の外国人留学生の総数は約30万人にものぼります。

日本人の採用が進まないことで「アルバイトが足らず、仕事がまわらない」「募集してもまったく応募がない」などと、人手不足で困っている店舗の方々の人材確保の一手として留学生をアルバイトとして採用する店舗、会社が急増しています。

 一方で、雇用をする企業・店舗・雇用主側が外国人留学生を雇用する際の知識を持っていなかったり、必要となる雇用手続きを踏んでいないために勃発するトラブルも多くなっています。トラブルが起こることで、店舗だけの問題にとどまらず、企業にとって大きなダメージを受けることもあります。また、留学生も留学を続けられなくなってしまうなど双方にとって不利益を出してしまう可能性もあります。

そんなトラブルを避けるために、留学生をアルバイトとして採用するために必要な知識と手続き等を今回はご紹介します。「何に気をつけなければならないのか」「何をしたら違法なのか」と不安に思い、採用に二の足を踏んでいる企業や担当者の方も少なくないと思いますので是非参考にしてみてください。

 

 

 

外国人留学生は誰でも採用していいわけじゃない!


在留資格の確認

 まずは「在留資格」の確認です。日本に滞在する外国人には、出入国管理及び難民認定法(入管法)に基づき「在留資格」というものが与えられます。

 

在留資格は次のように区分されています。


 ・定められている範囲内での就労が認められている:外交、医療、公用等
 ・就労が認められていない:短期滞在(観光)、留学、文化活動、など
 ・就労が制限されていない:永住者、日本人の配偶者など条件が満たされている場合
 ・個別に判断される:特定活動


就労が認められていない資格の場合、また認められた活動範囲外の就労をしてしまった場合は「不法就労」に該当します。「不法就労」はこの後の内容でも詳しく触れますが、罰則は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方」となっており、決して軽くはありません。在留資格の確認は必ず行っておきましょう。

 

 

「留学」だけでは働くことができない

 で留学」の在留資格しかない留学生がアルバイトをするためには、どうしたらいいのでしょうか。そこで取得が必要となるのが「資格外活動の許可」と呼ばれるものになります。

これは、居住地を管轄する入国管理局に必要書類を提出し申請することで、「許可」又は「不許可」が後日、本人に通知されるようになります。「許可」の認定がおりた場合には、留学以外の活動に当たる「アルバイト」ができるようになりますので就労が可能となります。「資格外活動の許可」を入国管理局から受けずにアルバイトに従事をしてしまった場合は「不法就労」となりますので、採用の前に、必ず資格外活動許可を得ているかどうか確認してください。

万が一、面接した留学生が許可を得ていない場合は、労働契約を結ぶ前までに、必ず許可を得るようにしてください。

 


・留学生の資格外活動許可とは

外国人留学生が有する在留資格「留学」による活動のほかに、収入を伴う活動を行おうとする場合には、あらかじめ入国管理局から資格外活動の許可を受ける必要があります。この許可は、本来の在留資格に属する活動を阻害しない範囲で付与されます。また、在留資格「留学」を有している場合は、就労先を特定せず、資格外活動許可を包括的に申請することができます。



・資格外活動許可の確認方法

資格外活動許可を受けている場合は、証印シール(旅券に貼付)または、資格外活動許可書が交付されています。中長期在留者の場合は、交付される在留カードの裏面に、その許可の要旨が記載されています。

 

 

採用した時は届出が必要

 許可の確認を行い、採用をした後はハローワークへ届け出に行きましょう。雇用対策法の定めにより、外国人雇用を行う全ての事業主に、外国人労働者(特別永住者及び在留資格「外交」・「公用」の者を除く)の雇用と離職の際に、その都度必ず、該当する外国人の労働者の氏名、在留資格、在留期間等について確認しハローワークへ届け出ることが義務付けられています。 アルバイトの雇用にも、これら雇用対策法が適用されます。

【雇用対策法第28条1項】にはすべての事業者は特別永住者など一部を除く外国人の採用・離職の状況を、ハローワークに届け出なければいけないという「外国人雇用状況報告制度」という制度があります。事業者は外国人を雇用した月の翌月10日までにハローワークへ届け出る必要があります。こちらは例外もあり、外国人が雇用保険の被保険者とならない場合は、翌月末までに提出というスケジュールになります。また、2020年3月以降「外国人雇用状況の届出」において、在留カード番号の記載が必要となりましたので、こちらも事前に本人から聞いておくようにしましょう。

※報告書の提出を怠ったり虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金が科せられます(雇用対策法第38条第2項)ので、必ず届出を忘れないようにしましょう。

 

 

雇用できる在留資格の種類


在留資格とは

 在留資格は入管法等によって規定されている「日本に合法的に滞在するために必要な資格」を指します。先程のような「留学」の「在留資格」を持っている留学外国人の場合は「資格外活動許可証」の許可があるかの確認になりますが、それ以外の外国人の場合は「在留資格がどのような条件に当てはめられているものなのか」ということを理解しておく必要があります。「在留資格」は即ち「滞在時に許された活動」と言いかえることができ、活動に応じて、30種類に分けられます。平たく言ってしまうと、滞在資格によって「何をするために(活動)、いつまで滞在するか(期間)」を分類しています。

また、「在留資格」については「条件が必要ないもの」「条件が必要なもの」と分けられますので、その外国人がどんな「在留資格」なのかによって「資格外活動許可証」を発行してもらうようにしましょう。

 

条件なしで就労可能な在留資格

 アルバイトとして合法的に雇える「在留資格」は5つあります。これらの条件に当てはまる場合は、条件無しで就労が可能です。

 


#条件なしで就労可能な在留資格5つ

 ・定住者:(活動)居住、(期間)一定期間に限定
 ・日本人の配偶者
 ・永住者(活動)居住、(期間)無期限
 ・永住者の配偶者
 ・特定活動(ワーキングホリデー)



「特定活動」については「ワーキングホリデー」と考えて良いです。特定活動とは、現在定義として「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」を指しており、特別な活動のみを許可された在留資格であることをいいます。ワーキングホリデー目的で入国した外国人は、1年間、日本に滞在します。その間、アルバイトをすることができます。

 

 

条件付きで就労可能な在留資格

 上記5つの「在留資格」に関しては、日本国内での活動を制限されることはないため「特別な許可」がなくとも、アルバイトとして雇用することができます。ですが、アルバイトとして雇用するために「許可が必要な資格」もあります。下記の3つは資格が必要となり、在留カードにこれらのいずれかが記載されていた場合には「資格外活動許可」を本人に取得してもらう必要があります。

 

#条件付きで就労可能な在留資格3つ

 ・留学
 ・文化活動
 ・家族滞在

 

 

面接時に確認すべき書類

 

#外国人アルバイト / 本人確認に必要なもの

 ・パスポート
 ・在留カード(在留資格が記載されています。資格内容によって「資格外活動許可証」が必要)

 

#外国人アルバイト / 本人確認に必要なもの + 留学生の場合

 ・パスポート
 ・在留カード(在留資格が記載されています。「留学」のみの場合は「資格外活動許可証」が必要)
 ・学生証
 ・資格外活動許可証



また、書類はないかもしれませんがですが「他に複数のアルバイトをしているかどうか」も確認をしておきましょう。

 

 

外国人留学生が働ける時間


 

 これまでは資格について話をしてきましたが、「外国人留学生」は学ぶことを本来の目的として日本での滞在が許可をされています。そのため、アルバイトとして雇用をする場合には、働くことができる時間が制限されていることも理解しなければなりません。ここからは時間の制約について記載していきます。

 

週28時間以内の制限

 外国人留学生が「資格外活動許可」を得てアルバイトを始められた場合は、就労時間も決められているため時間管理の注意が必要です。外国人留学生は「週28時間以内」と定められています。また、聴講生の場合は週14時間以内です。



特に「複数のアルバイトを掛け持ちしている」場合は、注意が必要です。アルバイトを掛け持ちしている場合も、労働時間を1週間あたり、28時間以内に収めなければならないため、他にアルバイトを行っているか、行う予定はあるかなどを事前の面接の際には十分に確認してください。基本的に発生はしないことではありますが、故意に時間を大幅にオーバーさせるなど、悪質な場合には不法就労にあたります。 留学ビザの更新が許可されなかったり、退去強制処分となったりする可能性があるため、留学生はもちろん、雇用する側も28時間以内に収まるようシフトを組む必要があります。

 

学校の長期休業は1日8時間まで

 外国人留学生が通う大学や専門学校の夏休みなどの長期休業中は授業がないため、1日8時間以内の就労が認められています。ただし、この長期休業は、各大学や専門学校などが学則で定めた期間に基づくものなので、何らかの影響で休講が続いたり、受講するクラスの数が少なかったりしたことで、たまたま長期間お休みになったといったケースは対象外となるので注意が必要です。

 

 

 

 

雇用主が気をつけるべきポイント


 

 「何が違反なのか」「違反した場合の罰則はあるのか」は気になる点だと思います。不注意で法律違反とならないように、次のようなポイントに注意して採用を行うようにしましょう。

 

不法就労にならないように確認

 「資格外活動許可」のない留学生がアルバイトをした場合には「不法就労」となり、常習的にアルバイトを行っていると明らかに認められる場合には、「退去強制事由」という規則に該当してしまい、「退去強制手続き」を執行されてしまうため注意が必要です。「強制送還」「国外退去」とも別名呼ばれており、違反を犯した外国人留学生は入管に収容され、審査などを経て退去強制令書が発布されると本国へ強制送還されます。「退去強制処分」になると、帰国後から5年間又は10年間は日本に再入国することができなくなります。



また、「うっかり」確認を怠ってしまった場合は雇用者側も罪に問われることになります。これは、外国人留学生が不法就労をした場合、雇った側も入管法の「不法就労助長罪(入管法第73条の2)」という罪に問われる可能性があります。罰則は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方」と言う罰則内容になっており、決して軽くありません。



「本人は許可があると言っていたのに!」というような場合もあるでしょうが、(入管法第73条の2)には、「次の各号(資格外活動の許可を得ていないなど)のいずれかに該当することを知らないことを理由として、処罰を免れることができない」と記載されており、たとえ「うっかり」だったとしても、確認を怠り不法に働かせてしまった場合には過失があるとされ、処罰の対象となり得るので必ず確認は行うようにしましょう。



ただし見た目が日本人と同じで言葉も堪能、日本名を使っていたといった場合は、留学生であると気づくのは難しいため、過失がないとされ、処罰を免れる可能性はあります。

 

 

採用前に許可の確認

 在留資格があるかどうか、資格外活動が許可されているかどうかは確認をすることができます。


#許可の確認がとれるもの

 ・在留カードの裏面に「許可」と記載
 ・「資格外活動許可書」が別で交付


留学生をアルバイトとして採用する際は、雇用契約を結ぶ前に必ず在留カードや許可書をチェックし、許可の有無を確認するようにしましょう。口頭で確認するだけでは不十分かつ、最悪の場合は「不法就労」抵触してしまうので注意が必要です。

確認をする際には、在留カードで在留期限は切れていないか(オーバーステイか)どうかも合わせてチェックしましょう。期限を超えている留学生が働いた場合も不法就労に該当するため注意してください。

 

 

いかがでしたでしょうか。確認すべき項目はあるとはいえ、人員不足を補ってくれる貴重な人材となりえますので、各ポイントに気をつけて是非採用に役立ててみてください。

 

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