シフトカットは違法?!知っておきたいポイントを解説!
「シフトカット」というみなさんも聞き覚えがあるコトバ。雇用側の都合や、調整りシフトの制限がかかったり、もともと入っていたシフトの急遽変更による「シフト減少」のことを指します。
日々シフト管理を行っていく中でも、「シフトは確定しているけれど、もう少し人員を減らせるな」「明日は天候が終日崩れるからお客さんが少なそうだな・・・」とシフトの微調整や、ときには多少の無理を承知で都合を付けてもらわねばならないことがあるかと思います。
しかし現在、雇用側の都合や見解での一方的な勤務日の設定や勤務時間を減らす
「シフトカット」による、従業員との亀裂や、法的な問題が浮上しています。
シフト管理者もトラブルなく本来は仕事に取り組みたいし、従業員との関係性も保ちたいもの。
この記事ではシフトを急に変更した場合、アルバイトにどのような対処をしなければならないのか、
どのように進めていけなければならないのかのポイントについて解説していきます。
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この記事を読んでわかること |
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目次
- シフトカットは違法になる可能性がある!
- 「シフトカット」が休業手当対象になることも
- 「休業手当」と「休業補償」の違いとは
- トラブルを起こさないためのポイント!
- シフト管理のお困りならSync Upで解決
シフトカットは違法になる可能性がある!
日々の中で店舗の売上と人件費調整など管理者にはつきもの・・・ですが、会社都合によりシフトカットした場合は「違法」になる場合があることを、まずは知っておきましょう。
違法にならないためには労働基準法に抵触しないように各ポイントを押さえておきましょう。
具体的なシフト管理の流れはこちらの記事をご覧ください!
アルバイトでも雇用契約書を結んでおくこと
アルバイト・従業員の採用などにおいて、なかなか忙しい雇用側からすると「口頭」で済ませてしまう・・・なんてケースも露見されることもありますが、労働基準法においては『労働契約を結ぶ際には労働条件を書面で交付』が義務付けられており、こちらを違反すると罰金が発生してしまいますので要注意が必要です。
規定:労働基準法15条、89条、106条 / 罰則:労働基準法120条 雇用者は労働者を雇い入れるとき、雇用条件を明示しなければなりません。また10人以上の労働者のいる事業所では、就業規則を作成・届出しつつ、労働者に周知させる義務があります。違反すると30万円以下の罰金刑となります(15条、89条、106条、120条) |
労働条件通知書における範囲内容で「シフト調整」と「説明」を行うこと
労働条件通知書に明記をしている内容を遵守し、勤務日数や勤務形態を考慮しシフトの作成・シフトの調整を行っていくことが重要です。
採用時に交付した労働条件通知書にシフトに入れる日数を規定する場合、規定した日数よりも著しく少ないシフト日数となるのであれば、その労働条件通知書の記載内容との違いについて、雇用者側からの説明義務も発生しますし、従業員は詳細説明を雇用者側へ求めることも可能となっています。
これらによる説明やコミュニケーションが明確に従業員と取れている場合は安心ですが、これらの条件や認識がずれている場合には「パワハラ」等の身に覚えのないいわれや、シフトの調整を誤ると労働基準法に抵触する恐れもあります。
トラブル回避のために、現在の従業員との契約内容の取り交わし方、内容を見直しましょう。
「シフトカット」が休業手当対象になることも
「シフトカット」は場合によっては「休業手当」対象になる場合があります。
休業手当とは、使用者から労働義務を免除された日を「休業」と定義し、休業の理由が使用者の責任で発生した場合に支払われる手当です。
社員が労働をしなかった場合でも、その事由が使用者の責に帰すべきものである場合は「休業手当」を支払う必要があります。「営業悪化による仕事量の減少」や「ストライキの結果」など、企業や雇用主の都合によるシフトのキャンセルなどは「休業手当」対象となります。
この場合は労働基準法第26条に定められている
『使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、休業期間中当該労働者に、
その平均賃金の60%以上の手当の支払いをしなければならない』と義務付けられています。
労働基準法第26条
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また万が一、休業手当に該当しているにも関わらず、
不払いがあった場合、使用者に罰則が発生するため、注意しなければなりません。
「使用者の責に帰すべき事由」があるにも関わらず、休業手当が支払われなかった場合、
休業手当支払い義務違反となった場合は30万円以下の罰金刑(労働基準法120条)となります。
休業手当と休業補償の違いとは
では、「休業手当」と「休業補償」の違いとは何でしょうか。
何が対象となっているのかがわからず気づかないうちに労働基準法に抵触していた、というケースも。
2つの違いのポイントをここでは押さえておきましょう。
休業手当とは
休業手当は、不景気による工場閉鎖をはじめ、会社都合によって休業する場合に、原則として所定の賃金支払日に会社が支払うものとされている制度のことを言います。
労働基準法上、休業手当は「給料や賞与」などと同様に賃金として扱われるので、
労災や雇用保険、健康保険などの保険料計算の対象となり、源泉所得税の課税対象になります。
そのため、通常の給与と同様に労働者負担分の社会保険料を休業手当から差し引くことができます。
休業手当:労働基準法第26条
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休業補償とは
休業補償とは、業務中の交通事故や病気で、仕事をできない状況に陥ったために賃金が支給されないなど収入の減ったときに、労災保険から支払われる補償のことを言います。
働けない状況に陥り収入を得られないことに対する手当なので、賃金とは見なされないことがポイントです。また、労災保険の内容に基づいて支給をされるので、就業規則によって支給ルールを変えられません。つまり誰に対しても、一律の基準が適用されます。
しかしこれに関しては労災保険の適応範囲内となるため、アルバイトスタッフには必ず保険に入ってもらうようにしましょう。
休業補償:労働基準法第76条
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休業手当に当てはまらない期間も
では、休業手当は使用者の責任で休業した場合に支払われる手当ですが、地震や火災といった災害時、休業を余儀なくされた場合はどうなるのでしょうか。
これは使用者の責任ではないため休業手当の支払いは困難と判断されるケースもあります。(※事実、2011年の東日本大震災の後に行われた計画停電時にも休業手当は認められていません。)どのようなものが休業手当として認められるのかも整理しておきましょう。
休業手当に当てはまらない期間
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上記のように外的な影響によって、また雇用主側の判断によってのみの責任ではない例も存在するため、対象になる期間も意識した上で休業手当に当てはまるのかも検討すると良いでしょう。ケースとして当てはまるのかわかりかねる場合は労働局に問い合わせてみることもおすすめします。トラブルを起こさないためのポイント!
今回の記事の中で大きくトラブルを起こさないための回避のポイントは、「雇用開始までの準備」がどうやら大きく影響を及ぼしそうです。
アルバイトと面接をし、採用を決めるとなった際に次の2つの作業を済ませておくとその後のトラブルも最小限にすることができます。1日でスムーズに終わらせられるよう、手続き日の前に必要な書類を準備、スタッフやアルバイト側にも必要書類を当日までに用意してもらえるように事前に準備物を伝えるようにしましょう。
1.労働条件通知書を明示する
記事の最初にも書いていましたが、労働条件通知書は書面で交付しないと違法となりますので、必ず作成し渡すように注意しましょう。また、その際には必ず明示し相手に「内容を確認」してもらう必要があります。※2019年4月からは条件付きで電子交付も可能となりましたので、合わせてご説明します。
1-a.労働条件通知書に記載すること
労働契約の期間・労働する場所・業務内容・労働時間、有給、休日や休憩時間について・交代制勤務がある場合はそのルール・給与と支払い方法、支払い時期について・昇給、退職金、賞与の有無・解雇を含む退職に関すること・労働契約の更新の有無と判断基準・相談窓口について
1-b.電子交付について
「労働者が希望し、受信者を特定できる送付方法で送ること。また、労働者が書面に印刷できること」が条件となります。この条件をすべて満たしている場合のみ、電子交付(FAXまたは電子メール)が可能となっています。
1-c.雇用契約書について
労働条件通知書を渡すことは最低条件ですが、雇用契約書は絶対に必要な書類ではありません。ただ、双方の合意の証拠が残る書類となるため、「労働条件通知書兼雇用契約書」を交わすという店舗も多いようです。
2.スタッフから必要な書類を提出してもらう
スタッフ、アルバイトを採用する上で必要になるもの、また労働時間の管理やどのくらいの期間はたらいてもらうかなども影響してくるため、書類は最初にしっかりと揃えて提出をしてもらいましょう。
実務上提出してもらうことをおすすめするのは、以下の4つです。
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以下の書類は必要に応じて提出してもらいましょう。短期契約か長期契約か社会保険に加入するかなど、アルバイトとの雇用関係を考慮したうえで、どれを用意してもらうかをお店が判断します。
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いかがでしたでしょうか。
現在のスタッフ・アルバイトとの雇用内容を見直し明確にしておくことで、雇用主側の気づかないうちに法律に抵触をしていたというようなリスクを軽減することができます。
是非今回の情報を活用してみてくださいね。
シフト管理のお困りならSync Upで解決
シフト管理は考えることが多く、人数が増えれば増えるほど、シフト管理者の工数も増えていきます。スタッフが不満を感じないようにするシフトを組むためには、紙やメールなどのツールだと限界があります。トラブルを防ぐための人件費計算や労務管理機能がついている「Sync Up」を紹介します。
シフト管理工数削減
アルバイトスタッフはスマホで希望シフトを提出でき、提出されたシフトはPCの管理画面に自動で反映されるため、転記作業が削減されます。他店舗の不足シフトに対してもスタッフ自ら応募できるスタッフシェアリング機能で店舗間の調整が簡単に。大変なシフト管理作業を効率化します。
アルバイトスタッフの稼働向上
確定している自分が入る予定のシフトはもちろん、自店舗、他店舗の不足シフトをいつでもどこでもスマホで確認することができます。直前でも入れるシフトが見えるため、自分のスケジュールを埋めることができ、スタッフの稼働向上に繋がります。