店舗の売上に直結!アルバイト育成 大全集!!

 執筆: Sync Up  更新 2023/06/09 17:48:41

採用難の時代に突入し、アルバイトの定着は現場の死活問題となっています。“給与”や“環境”以外に定着率UPを図る方法として、今回は店舗の売上に直結する“教育”に注目します。

初期育成から関係性を築く方法まで、アルバイトスタッフを育てるあらゆる仕組みについてご紹介していきたいと思います。

 

関連記事 > 「アルバイトが辞めない職場」はどうつくる?基本的なポイントとは

 

 

採用前後の条件相違とは?

 

 

 

サービス業の人手不足は顕著


 

 店舗ビジネスにおいて「アルバイトの人材育成」は経営上の最重要課題といえます。アルバイトの質が「売上・利益」に直結するサービス業にとって、人材育成の成否はまさに経営の生命線です。

 

飲食業界では、実に78.2%が「非正社員が不足している」と回答し、アルバイト教育に何かしらの課題を感じています。[帝国データバンク]特別企画: 人手不足に対する企業の動向調査(2019 年 10 月)

 

[帝国データバンク]特別企画: 人手不足に対する企業の動向調査(2019 年 10 月)

 

 

辞めさせないことが大切な理由


 

 バイトぐらいすぐ来るだろう、という軽い感覚は今すぐに捨ててください。目指すべきは、「アルバイトが辞めずに育つ」店。なぜなら、売上UPに繋がる好循環はここから生まれるからです。

アルバイト定着による3つのメリット

 

1. 採用のために投じるコストが低くなる

2. 新人研修にかかる時間、人手、コストを抑えられる

3. 習熟度が高くなり、サービスのクオリティが上がる


3つのメリットからわかるように、定着率を上げることで結果的に売上UPに繋がりますよね。

 

 時間をかけて仕事を覚えたアルバイトの退職は、目の前のシフト組み以上に大きな悪影響があります。新たなアルバイトも採用・教育しなければならず、コストも時間もかかります。仕事を覚え、長期間働いてくれるアルバイトこそ、財産。サービス業では人材ではなく「人財」と表現されるのはそのためです。

筆者は過去に飲食店や小売店で店長をしていたこともあり、アルバイトの定着がいかに多くのメリットがあるかを実感してきました。アルバイトが短期間で辞めてしまう店舗の多くは、「教育」の方法を間違えています。


例えば

・店舗のカウンターで、ぼーっとしてるアルバイト
・質問に答えられず、あたふたするアルバイト

皆さんも、ご覧になった経験はありませんか?

彼らはなぜ暇をもてあましていたり、あたふたしてしまうのでしょうか?それは、接客以外の業務をきちんと教えてもらっていないためです。また、最低限の知識だけ教えられ、「あとは現場で覚えて」と店頭に出されたのかもしれません。実際の業務を通して、必要な知識や技能を身につけさせていくことは重要ですが、あやふやな知識しか持っていない状態では、新人は戸惑うだけで接客らしい接客もできません。

今なにをすべきか?常に不安を感じている。そんな気持ちで働いていても、やりがいや面白みは感じられません。だから彼らは早々に、「辞めます。」と去ってしまうのです。


 

”教えぬ現場に、定着なし”

 すべてをきっちり教えてこそ、大切な仕事でも安心して任せられます。さらに、それがアルバイトのやる気UPにつながるという好循環になるのです。

アルバイトを雇用したらそのままにせず、1から10まで丁寧に指導するようにしましょう。指導の体制を作り、研修やミーティングにも参加させ、従業員同士で教え合うコミュニティができるような環境を作ります。

コミュニティができることで社員とアルバイト間に「仲間」という認識が生まれます。さらに従業員同士のつながりが深まり、業務に対する責任を実感することになるます。

そうすることで定着率は上がっていき、自分が貢献している、役に立っているという実感こそが、アルバイトにとって働く原動力になり、結果的に定着率をUPさせ、採用コストや研修コストも抑えられるようになるのです。

 

 

 

初日が肝心!まずは職場を好きになってもらう


 

 新人アルバイトの初日、開店前に既存アルバイトを集めて3分ぐらいの自己紹介タイムをとる。終わったら、さっそく作業のやり方を教えていく。

時間がないからと、そんな対応をしている現場も多いですよね。

しかし、新人アルバイトは新しい職場への期待と同時に色々な不安を抱えながら、初日を迎えています。そんな中で、自己紹介も手短に、働いているスタッフのことも、会社のことも理解できていない状態で店頭に立つとなると、どう感じるでしょうか?

 

 答えは、「なんか居心地が悪いな。」とストレスを感じてしまいます。もちろん、コミュニケーション能力が高く、すぐに馴染める人もいますが、そういった人材は少ないですし、ただでさえ人手不足な業界ですから、そうでないアルバイトをしっかり一人前に育てていくことが、強いお店づくりには必須といえます。

そのためには、職場を居心地の良い空間にする必要があります。まず好きになってもらうことが大切です。そのために入社後すぐに行っておくべき「重要な2ステップ」があります。

 

職場を好きになってもらう2ステップ

 

1. ウェルカムイベントの開催

2. 会社やお店について知ってもらう

 

それでは、2つのステップについて説明してきましょう!

 

1. 初日のウェルカムイベントを開催する

 新人アルバイトに居場所を与えること。人の入れ替わりが激しいサービス業界において、高い定着率を誇る飲食チェーン店の例を挙げましょう。


このお店では、どんなに忙しくても、新人が入社した日には、お店のホワイトボードをウェルカムボードにしてメッセージを書き込み、新人をお迎えします。

その後メンバーを出来るだけ集めて、ランチや仕事終わりに食事をしながら、おしゃべりを楽しむ歓迎会を行うという習慣を作っています。

新人アルバイトにとって、初日は“職場に対する第一印象が決まる大切な日”。

「ここに自分の居場所があるんだ!」と感じてもらえれば、職場への愛着が生まれます。

接客系の仕事は物理的な自分の居場所を見つけにくいので、歓迎パーティを開いたり、みんなで「入社おめでとう」「これから一緒にがんばっていこう」などと書いた色紙やカードを渡したりと、“心の居場所”を作ってあげることが大切。そうすれば、モチベーションもUPし、教育を受ける時も熱意をもって取り組んでくれるはずです。

 

2. 会社やお店について知ってもらう

 実践教育前に踏んでおきたいステップとして、経営者が新人に向けてビジョンを伝える時間「レクチャータイム」をつくります。

正社員だけでなくアルバイトにも共通認識を持ってもらうため、経営方針や目標、理念などを伝えましょう。全員が同じ目標を持ち意識して働くことで、連帯感や責任感が生まれます。アルバイトも大切な「仲間」であると認識してもらい、お互いが支え合い、助け合ってこそ目標に到達できるのだと理解してもらいましょう。



レクチャータイムでは下記の5つを意識して伝えるようにしましょう。


1. 店主の思い

2. お店の歴史

3. 経営理念

4. 従業員としてあるべき姿

5. ビジョン

新人アルバイトが入ってきた時は、いきなり作業を教え始めるのではなく、まず売り場を離れ、静かな事務所やカフェで、お店のアルバイトとして必要なマインドについて伝える時間をとりましょう。

 

人材育成・仕事を教える際の基本的な考え方


 

 初期受入れが成功したら、次はいよいよ仕事を教えていきますが、その前に人材育成の基本的な流れをイメージしておくと、スムーズに育成を行うことができます。ここでは、育成の4つのプロセスについての概要をお伝えします。

 

1.準備

ここでやることは2つです。

 ・今日は何をしてもらうか、何を覚えてもらうか。予め考えておく。
 ・必要なモノ、資料などを揃える。

2. 提示

何をしてもらうか伝え、自ら手本としてやってみせる。まずは正しいお手本を見せてあげましょう。この時は普段よりも丁寧に、わかりやすく、相手が理解するまで何回も見せてあげることが重要です。

 

3. 実行

実際にやってもらう(ロールプレイング)。頭では理解していても、慣れるまでは手が動かないものです。出来るようになるまで繰り返し練習するように伝え、定期的にチェックするようにしましょう。

 

4. 評価

できた部分と改善してほしいところを伝える。一番大切なのは、評価の仕方です。できていない部分は目につきやすいですが、そればかり伝えても上手くいきません。

まず、小さなことでもできたことから認めてあげることが大切です。特に今の10代・20代は怒られた経験が少ないため、注意深く接します。地道ですが、この繰り返しが最も効果的です。少しずつできることを増やします。

 

 

 

任せる仕事を説明する


 

育成のプロセスを理解したら、次は「任せる仕事」を明確にしましょう。「何をすれば良いかわからない」状況が続いてしまうのは新人にとって大きなストレスです。働き始めて、2日目にいきなり出勤しなくなった話など珍しくないですよね。

ここでのポイントは、同じように育成するために「育成の仕組化」を行います。

 

 

育成の仕組化6つのポイント

 

1. マニュアルを作成する

2. 理由とセットで仕事を教える

3.「自分専用マニュアル」にまとめてもらう

4. 抜き打ちテストで定期的にチェック

5. やる気・モチベーションを維持する

6. 評価制度の導入

 

 

1. マニュアルを作成する

 アルバイトによってサービス内容に差が出てはいけません。お店のオペレーションの基準を職種ごとにわかりやすく伝えましょう。


マニュアルを作ると、仕事の内容とやり方が明確になります。アルバイトも覚えやすく、慣れない仕事への不安も解消されやすくなります。場合によっては、はじめてアルバイトをする高校生を雇うかもしれません。それぞれのオペレーションにおいて分かりやすいマニュアルを作りましょう。

「一定のサービスが誰でも提供できること」を根底において作りますので、わかりやすく写真や図などを入れて作ると良いでしょう。


また、「わからないことがあったら、その都度聞いてね」「このサービスを受け付けるケースは少ないから、お客さんからオーダーがあったら教えるよ」と教育を中途半端に終わらせるのはNGです。最初から完璧に教えておくことこそ、安心して現場を任せられる人材に育てる鉄則です。



実際には、かなり骨の折れる作業となりますが、業務項目を100%網羅した「教育チェックリスト」を作ることもオススメです。新人アルバイトとトレーナーが各自1枚ずつ携帯し、1つ教えたらお互いに各項目へチェックを入れていくだけの、ごくシンプルなものです。

シートの作り方は簡単。作業を細かく分解して、箇条書きにしてリストにしましょう。
例えば、トイレ掃除の仕事リストを一部抜粋する
なら下記のようなイメージです。

 

 ✓ 手洗い台を拭く   ✓ 石鹸の補充
 ✓ ドアの表面を拭く  ✓ ドアの裏面を拭
 ✓ 床のタイルを洗う  ✓ トイレットペーパーの交換

 


このシートは、新人の教育時だけに限らず、ベテランアルバイトたちの記憶違いや我流になったやり方を正す意味でも有効です。また、全員が同じリストを使うようにすれば、教え漏れがなくなり、人によってサービスの内容やレベルが大きく変わることも防げますので、最初はつくるのが大変ですが、一度つくってしまえば、「教育チェックシート」は必ずお店の財産となります。

 

 

2. 理由をセットで仕事を教える

 上司、店長の立場からするとアルバイトに対して、

「なぜ自主的に動いてくれないのだろう」

「言ったこと以外もやるようにするにはどうしたらいいのだろう」

と思い悩む人がいますが、大切なのはアルバイトに

「何をして欲しいのか」

「どんな風に考え、意識して行動して欲しいのか」  をきちんと伝えることです。



マニュアルがあったり、やることの指示をしていたとしても、「相手に伝わった」状態でなければ意味がありません。アルバイトが理解しやすい言葉で伝えること、しっかり理解したかどうかを何らかの形で確認することが必要です。

また、単にやることを指示するだけでなく、アルバイトの仕事が売上にどんな貢献をしているのか、お店の中でどういう位置づけ、役割を担っているのかを伝えたり、仕事の手順や内容の意図・目的を伝えることも大切です。

アルバイトが単なる「作業」ではなく「仕事」として業務に取り組めるようにするにはそういった一つ一つの仕事の意味を理解してもらう、何の目的でどういう意図があってその業務が発生しており、そのアルバイトがやることでどうなるのか。そういったことを伝えることで、自主的な動きやマニュアルだけの作業からステップアップしてもらいやすくなります。



例えば、「商品の発注では、欠品を起こさぬよう数量管理を徹底する」と教えるとしましょう。そのとき、「発注は、お客様をファンにすることと、売上を作るための下地を作る大切な仕事です」と伝えた上で、「ある人が来店した時に、もし欠品が3回続けば二度と来店してもらえません。すると店舗の利益が減り、あなたのお給料を上げることもできなくなります」と理由を説明します。こう聞けば、アルバイトも自分がしている仕事の意味と重要度を理解できるはずです。

 

 

 

3. 「自分専用マニュアル」にまとめてもらう

 教え終わった項目は、アルバイトに各自でノートにまとめてもらいます。これが、困った時の助けとなる「自分だけのマニュアル」になるのです。

通常、接客業では本社から店舗用の分厚いマニュアルが配布されているケースが多いようです。しかし、対応を急いでいるアルバイトに、分厚い冊子を調べる余裕はありません。結局、店長や周りのアルバイトにSOSを出すことになり、本社マニュアルは無用の長物と化します。

一方、業務を習った後、自分用のマニュアルをまとめておくようにすればどうなるか?彼らは何か問題に直面しても、自分のノートを見て一人で対処するようになります。すると、店長はお店をアルバイトに任せることができ、じっくりと今後の営業戦略を練ったり、キャンペーンについて考えたり、店舗の課題解決に動いたりする時間を持てるようになるのです。

 

 

4. 抜き打ちテストで定期的にチェックする

 慣れてきたら、一度教えたからといって彼らを放置せず、定期的に抜き打ちで実技チェックも行いましょう。仕事に慣れて、我流に走りがちなベテランアルバイトも、同様にこのテストの対象者です。これにより、お客様にご提供する必要最低限のサービスレベルを均一に保つことが出来ます

 

5. やる気・モチベーションを維持する

 1番考えなければいけないのは、「やる気」「モチベーション」の維持です。せっかく仕事を教えても、やる気のないアルバイトは真剣に取り組んでくれません。習熟スピード・モチベーションに合わせて、業務範囲を広げていくことが大切です。

 

 

6. 評価制度の導入

 「頑張ってやってるのに、だれも認めてくれない。まともに評価してもらえない。」など、こうなると当然の結果として、アルバイトのモチベーションは下がり「頑張っても意味がない。」という雰囲気がお店全体に広がってしまいます。

人は認められたい・褒められたいという、承認欲求が強い生き物。前述したように、こまめに褒めること、フィードバックすることが重要です。

しかし、店長個人のマネジメント力だけでのモチベーション維持には限界があります。マネジメントも店長により得手・不得手がありますから、誰が店長になっても一定のモチベーションを維持することができるようになるためには、評価制度の導入が効果的です。

また、仕事の評価を給与に反映させる制度をつくることも有効です。この際は「公平な評価」を行うことに注意しましょう。アルバイトは、わずか10円の時給の差にも敏感なものです。「あの人が優遇されてる」と感じるアルバイトがいると、お店全体の空気が悪くなることもあります。

 

 

 

周囲のメンバーと関係性を構築する


 

周囲のメンバーとの協力体制が取れるようになると、アルバイト個々人が自身で考えて行動ができるようになり、より強いお店をつくることができます。そのために必要な仕組を2つご紹介します。

 

1. メンター制度の導入

 ひとつめはメンター制度です。年の近い先輩従業員やベテラン従業員が、新人の従業員の指導役になる制度です。具体的な指導方法としては、1対1で定期的に面談を行い、業務上の悩みや不安について話をして、問題の解決・解消を図る方法があります。

新人従業員が一人で悩みや問題を抱え込むことを防ぎ、サポート役をあらかじめ決めておくことでモチベーションや定着率をアップさせることができます。同時に従業員同士のコミュニケーションの円滑化も期待できます。

 

 

2. 引継ぎノート/チャットの積極活用

 ふたつめは、当たり前なことですが、店舗内での情報共有の円滑化です。アルバイトは短時間の勤務が多いため、引き継ぎが重要になります。引き継ぎノートやミーティングなどを活用し、従業員の間で情報の共有を行いましょう。

日によってお客様の流れや、客層は変わります。従業員同士で密に情報を共有していれば、柔軟な対応がしやすくなります。また、情報を共有するときにお互いにアドバイスや意見を言いやすくなるでしょう。同時に、問題点などにも気づきやすく、素速く対応できるようになります。

また最近では、ビジネス用のチャットツールを利用し、更に情報共有のスピードを高めることが出来るようになっていますので、そういったツールを活用することもオススメです。

 

 

 

まとめ


 

 「なんと手間のかかることを……。それ、ホントに効果あるの?」と思う方もいるかと思います。また、「わかってるけど、忙しくてできないんだよ……」という状況の方も多いと思います。

今回ご紹介した内容は、定着すれば大きな力となることは間違いないでしょう。しかし定着をさせるためには、推進者である皆さんが、「出来ない」ではなく、「やる」という強い意思をもって取り組むことが何より重要です。


ぜひ皆さんも自店舗にあった「アルバイト育成」の型をつくってみてください。

今回、まとめた内容を全て実践して定着させるには、2,3年、あるいはもっと掛かるかもしれません。しかし、中には明日からすぐに実践できることもありました。今の自店舗で、出来ること/出来ないことを切り分けて、全て実施できるようにするためには、どのような計画を立てれば良いのか?

ぜひこの機会に、考える時間をつくって、時間軸に落とし、そして実行してみてください。
お店の実力がつくことで、アルバイトの定着率や店舗の売上が、今よりもっと上がっていくはずです。

採用前後の条件相違とは?

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